うつ病や他の心の病で通院されている方は,大半が投薬治療をされていると思います.統合失調症、低血糖症、うつ病 投薬だけに頼らない精神疾患治療というブログを運営されている,新宿溝口クリニック院長の溝口先生は,うつ病や統合失調症などの治療に,サプリメントを併用されているそうです.というのも,重度の貧血や低血糖によって,抑うつ症状と似た症状がでるため,心の病よりも栄養不足が原因で抑うつ症状に陥る可能性もあるからです.
実際,筆者の場合は鉄分不足による貧血症状が,真夏の介護で生じ,そのときは鉄分サプリで乗り切りました.また,糖分が脳内のリラックス作用をつかさどる,セロトニン放出に関わっているため,低血糖も注意すべきでしょう.最近の若年層では,不健全なダイエットのため栄養失調を起こし,抑うつ状態に陥る例もあります.心の病か栄養失調によるものか分からない場合,お医者さんで相談してみましょう.
近年の食の欧米化でビタミン・ミネラルが不足しがちだと言われています.一概にサプリメントが悪いわけではなく,栄養バランスが崩れている方には,活力につながるものですので,主治医の方も使用をOKしてくだされば, サプリメントの使用も可能です.各栄養素の作用や含まれる食品について,このページで紹介します.栄養素が多く含まれる食品も紹介していますので,サプリメントの前に,食生活の見直しにも役立ててください.
サプリメントを処方薬と併用される場合は,必ずお医者さんに相談してからにしましょう.なお,サプリメント等でうつ病をはじめとする病気が完治するわけではありません.サプリメントは病気を治すものではなく,偏りがちな現代の食生活により生じてる栄養素のアンバランスを補正するものです.
以下の記事は「医療従事者のための機能性食品(サプリメント)ガイド―完全版」(以下,参考書),及び厚生労働省のHPを参考に書いています.
●ビタミンA,カロチン
ストレスに対する抵抗力を高める働きがあります.
うなぎ,レバー,卵黄,緑色野菜,海苔に多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は6mgですが,野菜を350mg以上摂取すればOKです.
●ビタミンB1
神経の働きを正常にし活性化させます.不足するとイライラを招きます.
豚肉,玄米,納豆,落花生,しいたけ,海苔,牛レバーに多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は0.8〜1.2mgです.
●ビタミンC
体の抵抗力をつけ心身の安定をはかります.ストレスでV.C.は減少します.
いちご,キウイ,ジャガイモ,さつまいも,パセリ,緑茶,もやしに多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は100mgです.
●ビタミンE
抗酸化作用があり,老化防止に役立ちます.
アーモンド,ヒマワリの種,大豆,卵,乳製品に多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は8〜10mgです.
●カルシウム
「天然の精神安定剤」といわれ,不足すると不眠やイライラを招きます.
牛乳,チーズ,ヨーグルト,しらす干し,豆腐,ひじき,切干大根に多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は600mgです.
●カリウム
神経過敏を抑える働きがあります.
バナナ,りんご,豆類,ジャガイモ,野菜類に多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は2000mgです.
●マグネシウム
気持ちを沈静化し,イライラや神経過敏,不安を抑える働きをします.
小麦ふすま,アーモンド,そば,胚芽,ココアに多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は250〜320mgです.
●鉄分
赤血球のヘモグロビンの元になります.
貧血症状にはふらつきだけでなく,動悸,息切れ,冷や汗などあります.
鉄不足は自覚症状が無く,血液検査で十分量の鉄分が検出されても,
汗をかいた時など貧血になりやすくなります.
1日1mgの鉄が補給できれば良いのですが,約吸収率が8%前後と非常に低いため,
欠乏しやすく,栄養素の中でも鉄不足で悩む人はかなり多いそうです.
ホウレン草,レバー,大豆食品,海藻に多く含まれます.
鉄分と共にV.B群やV.Cを摂取すると,吸収率がよくなります.
●亜鉛
亜鉛はインスリンの原料になります.糖代謝には必要な栄養素で,糖尿病予防にもなる.
牡蠣,アーモンド,うなぎ,豚レバーに多く含まれます.
参考書によると,1日の所要量は9〜12mgです.
●コエンザイム CoQ10
細胞内のミトコンドリアを活性化し,エネルギーを作るのに不可欠なCoQ10です.
ビタミンEの抗酸化力を高め,自らが強力な抗酸化物質として作用し,
老化抑制にも注目されています.
また運動による筋力アップ効果を高め,疲労回復を早めます.
レバーやモツ,牛肉,カツオ,ブロッコリーなどに含まれます.
食品では十分量が摂取できないため,サプリメント摂取が注目されています.
厚生労働省基準では,医薬品分野において「基礎治療施行中の軽度及び,
中等度のうっ血性心不全症状」の効能・効果を得るために,
1日30mgの用量で承認されています.
●カルニチン
脂肪燃焼に注目されています.本来体内で合成されますが,加齢と共に減少します.
肉,鶏肉,魚,乳製品に多く含まれます.
食品では十分量が摂取できないため,サプリメント摂取が注目されています.
厚生労働省基準では,「使用に当たっては,
米国では許容一日摂取量(ADI)が20mg/kg/日と評価されていることや,
スイスでは1,000mg/日を摂取の条件としていることなどから,
過剰摂取しないように配慮するとともに,
消費者への情報提供を適切に行うこと.」と明記しています.
●α−リポ酸
ビタミンによく似た性質をもち,生体活動を維持するために働く「補酵素」として作用.
α−リポ酸は炭水化物・糖質を細胞に運んで,エネルギー作りに役立ちます.
じゃがいも,トマト,ホウレン草,ブロッコリー,ニンジン,牛レバーに多く含まれます.
食品では十分量が摂取できないため,サプリメント摂取が注目されています.
厚生労働省基準では,CRN JAPANの自主規格では,1日摂取目安量の標準は100mg,
1日摂取上限量は,200mgに設定されています.
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