うつ病治療 で一般的に用いられる抗うつ薬 (SSRI・SNRI・三環系 など)について, 脳内でどのような働きをして,うつ病の治療効果を得るのかを解説します.
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図1.神経細胞の構造(メルクマニュアルより)
図2.シナプス(脳科学総合研究センターより)
正常な場合,セロトニンが放出され,セロトニン専用レセプター(受信口)へと信号が伝達されます.
うつ病になると,レセプターが故障し, 十分な量のセロトニンが受信されなくなります.
行き場を失ったセロトニンは,送信側にある再取り込み口から逆流していきます.
ここにSSRIを導入すると,送信側の再取り込み口をふさぎ シナプス間にセロトニンを長期とどめる作用が働きます.
すると,セロトニンがしだいに蓄えられ受信側の細胞を活性化します.その結果,信号が再び伝わりやすくなりうつ病の症状が改善します.
SSRIはセロトニンに,SNRIはセロトニンと,ノルアドレナリンの両方の再取り込み口を選択的にふさぎます. これらの働きによりセロトニン・ノルアドレナリン量が脳内で増え,気分不安定や意欲低下といった症状が緩和されます.
●上記のうつ病のメカニズム・SSRIの作用について補足(2008年4月). 今回はNHKで2005年5月28日に放送された 『うつサポート情報室 NO.22(ETVワイド ともに生きる)』より,野村総一郎先生(防衛医科大学 教授)の解説を参考に作成させていただきました. > http://www.nhk.or.jp/fukushi/utsu/file/22.html しかしながら,脳内神経(シナプス等)でのうつ病の機構は未解明の事が多く,必ずしも上記のメカニズムで全てを説明できるとは断言できないのが現状のようです. 一般的なうつ病に関するパンフレットでは,古くからあるセロトニン仮説(モノアミン仮説)を説明しています.モノアミン仮説とは,脳内のノルアドレナリンやセロトニンの分泌量などが低下すると,うつ病などを発症するというメカニズムです. ファイザー 抗うつ薬の作用にて,SSRIとSNRIの作用をイラストで確認できます. > http://www.cocoro-h.jp/untreated/recover/potency.html また今回紹介したメカニズムとは逆の視点も注目されています.放射線医学総合研究所(NIRS)の分子神経イメージング研究グループでは,受信側のレセプターの異常ではなく,『セロトニン再取り込みを行う部位(セロトニントランスポーター)の異常に注目』して研究しているようです. > http://www.nirs.go.jp/seika/brain/brain/kibunsyogai_ichimiya/index.html これらのように国内だけでもうつ病のメカニズムに関して,様々な視点で研究や仮説が唱えられています.脳神経学に限りませんが,遺伝子研究から放射線医学のようにあらゆる視点からアプローチした医療研究が進んでいます.うつ病のメカニズムは1つでなく複数・複雑な組み合わせで発症している可能性もあります.これらの仮説・研究から,詳細なメカニズムが絞られた総論が出ることを期待します.